牛肉の生産は、牛が生まれた瞬間から始まり、さまざまな段階を経て高品質な肉が市場に出回ります。ここでは、牛がどのように育てられるかを見てみましょう。
生まれてから最初の4カ月間、仔牛は主に母牛の乳や代替ミルクを摂取します。この時期は成長の基礎を築く重要な段階であり、免疫力を強化し、健康的な成長を促すために栄養バランスが整った食事が与えられます。
仔牛が4カ月を過ぎると、牧草を中心とした食事に移行します。この牧草肥育の期間は、牛の成長と肉質に大きな影響を与える重要な段階です。
ライムストーンコースト地域を始めとする、オーストラリア南部では、より集約的な牧草管理が行われています。農家はスプリンクラーを使い、アルファルファ、ライ、チコリなどの栄養豊富な牧草を育成します。
これにより、南部の牛は青々とした新鮮な草を食べることができ、筋肉や骨の発達が促され、肉質もより豊かな風味と柔らかさを持つと言われています。この違いが、最終的な牛肉の品質に大きく影響を与えます。
ちなみに、オーストラリア北部では、自然環境に依存し、バッフェルグラスやガンバグラスといった自然由来の牧草が中心となります。これらの草は乾燥した気候にも強く、生命力はありますが、栄養価は限られています。そのため、北部の生産者は成長ホルモンを使用する傾向があります(2023年のクィーンズランド州の場合は54%が使用)。
最終的な肥育段階では、牛は10カ月を迎える頃から穀物を主食とする食事に移行します。この「穀物肥育」期間は約5カ月(150日)間続き、穀物を中心とした栄養価の高い食事が、肉質に豊かな風味と柔らかさをもたらします。これにより、消費者に人気のあるジューシーで香り高い牛肉が完成します。
穀物肥育が終わった牛たちは最新の工場に輸送され、食肉に加工されます。